薬局のBCP

マリン薬局
業務継続計画(BCP)
目次
 

業務継続計画(BCP)の概念

業務継続計画(BCP:Business Continuity Plan)は、災害時にも継続すべき業務について、限られた業務資源であってもそれらをきちんと継続できるよう、事前に必要な準備を行うために作成するものです。
BCPのポイントは次のとおりです。
・災害時の被災状況を想定し、それを前提とする。
・継続すべき業務を絞り込む。
・継続する業務のサービスレベルの目標、中断する業務の再開目標を定める。
・目標に応じて必要となる対策(業務資源の確保など)を事前に検討し、実行する。
・現状と目標の差を検証し、継続的に見直す。

1 業務継続の基本方針

①従業員及びお客様の安全確保
②地域医療救護活動の支援
③医薬品の安定供給(早期営業再開)
④財務基盤の維持

2 被害の想定

表 3 ライフラインの復旧期間イメージ
(出典:「首都直下地震等による東京の被害想定報告書」東京都防災会議)
 
表 4 想定地震・震度の設定
想定する地震
奄美群島地震
震度
6強
表 5 薬局周辺の被害状況の想定
表 6 薬局において想定される被害
表 7 参集可否の判断目安
表 8 自薬局の被害状況の想定
従業員の参集状況の想定(営業時間中に発災した場合)
表 10 従業員の参集状況の想定(営業時間外に発災した場合)

4 業務の把握と優先業務の選定

(1)薬局の通常業務の把握
  • 調剤業務
薬局業務の大きな柱である調剤業務は、複数のプロセスから成り立っています。また、必要となる業務資源も様々です。災害時でも、調剤業務の中で欠かすことのできないプロセスについて把握する。
  • 調剤以外の業務
  • 一般用医薬品の販売
  • 衛生材料の販売
  • 雑貨・食料品の販売
  • 在宅患者訪問薬剤管理指導 等
  • 定常的な業務
  • 医薬品発注、在庫管理
  • 薬事管理
  • DI業務
  • 構造設備管理 等
図2 調剤業務の流れ
  • 不定期に発生する業務
  • 薬学生の受け入れ
  • 研修・勉強会等への参加
  • 学会発表、学会出席
  • 地域行事への参加 等
(2)薬局の応急業務の把握
  • 応急業務
  • 患者の避難誘導
  • 従業員の安否確認
  • 店舗の状況の確認
  • 平時に処方箋を応需している医療機関、地区薬剤師会等の関係機関への連絡 等
(3)優先業務の選定
表 11 通常業務、応急業務の把握と災害時の優先業務
 調剤業務
 

4 業務資源の把握

ヒト:薬剤師、医療事務員などの従業員。
モノ:薬局内の常備品と定期的に外部調達が必要なもの(外部調達品)に分けて考えてみましょう。
□ 常備品:電子天秤、分包機、冷蔵庫など薬局が日常的に保有しているもの
□ 外部調達品:医薬品、薬袋、薬包紙など外部からの定期的な供給が必要なもの
情報:処方箋やパソコンに保存しているデータなど、業務に必要な情報
ライフライン:電気、水道、電話、インターネットなど、業務に必要なライフライン
12 業務資源の整理(「散剤計量調剤」の場合)
 

5 リスクの評価

13 リスク評価の検討例(「散剤計量調剤」の場合)
6 業務継続目標の設定
×:業務を全く継続できない。 △:業務内容が通常と異なる部分はあるものの、業務を継続する。 ○:通常通りの内容で実施する。
  • サービス提供方法・手段を変更する。
例:疑義照会:電話の代わりに、医療機関を訪問
薬袋作成:プリンタの代わりに、手書きにより作成
散剤の秤量:電子天秤の代わりに上皿天秤により秤量
散剤の分包:自動分包機の代わりに、薬包紙による手分包
液剤の秤量:秤量用器具の代わりに、目盛付滅菌済投薬瓶により直接秤量
軟膏剤の混合:コンディショニングミキサーの代わりに、軟膏板と軟膏へらにより混合
  • サービス内容(量・質)を変更する。
例:調剤日数の短縮(量)
開局時間の短縮(量)
錠剤の粉砕調剤の中止(質)
薬剤情報提供文書の記載内容簡
 
7 対策の検討
 
表 15 対策
表 16 対策の検討(「散剤計量調剤」の場合)
 

8 その他

  • 危機対応計画
  • BCP運用のしくみ
  • 教育、訓練計画 等
 
以上 さまざまな対策を考え自然災害や地震災害の対策を構築しています。